当研究室 陳 昌佑さんの論文がCancer Immunoogy Research誌に掲載されました。
当研究室 陳 昌佑さんの論文がCancer Immunoogy Research誌に掲載されました。
Chang-Yu Chen , Satoshi Ueha , Yoshiro Ishiwata , Shigeyuki Shichino , Shoji Yokochi , De Yang , Joost J. Oppenheim , Haru Ogiwara , Shungo Deshimaru , Yuzuka Kanno , Hiroyasu Aoki , Tatsuro Ogawa , Shiro Shibayama, Kouji Matsushima
Cancer Immunoogy Research, September 2, 2021
免疫チェックポイント阻害療法(ICB)の治療効果を向上させるための手段の一つとして、腫瘍内の幹細胞様/疲弊前駆型CD8+T細胞(Tstem/Tpex)を増大させることが重要であると考えられます。本研究では、アラーミンの一種であるhigh-mobility group nucleosome binding domain 1 (HMGN1) ペプチドの投与と、代表的な免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-L1抗体を併用することで、Tstem/Tpex細胞の増大を促進するという治療戦略を示しました。HMGN1の投与は、免疫制御分子に富む腫瘍内成熟DC(mregDC)の数を増加させるとともに、その抗原提示機能を強化しました。このHMGN1と抗PD-L1抗体とを併用することで、担癌マウスの腫瘍を退縮させるとともに、同時にTstem/Tpex細胞を増加させることができました(下図)。HMGN1+抗PD-L1抗体併用療法を行ったマウスのシングルセル遺伝子発現データをCellPhonDBを用いて解析したところ、腫瘍内のmregDCとTstem/Tpex細胞が相互作用する可能性が示唆されました。以上の結果は、HMG1が、腫瘍内のTstem/Tpex細胞の増加を促進することで、抗PD-L1免疫療法の治療効果を増強する免疫アジュバントとして機能する可能性を示しています。