当研究室 小川 達郎さんの論文がBiochemical and Biophysical Research Communications誌に掲載されました。

当研究室 小川 達郎さんの論文がBiochemical and Biophysical Research Communications誌に掲載されました。

Profibrotic properties of C1q+ interstitial macrophages in silica-induced pulmonary fibrosis in mice;

Tatsuro Ogawa, Shigeyuki Shichino, Satoshi Ueha, Kana Bando and Kouji Matsushima          Biochemical and Biophysical Research Communications 2022 February 11

肺線維症においてマクロファージは線維芽細胞活性化因子の高発現や局在などの特長から線維化の調節役として注目されています。線維化肺においては肺胞マクロファージ、間質マクロファージに加えて、単球由来マクロファージが出現し非常にヘテロなマクロファージ集団が形成され、これら各種マクロファージの役割の解明が求められています。

本研究ではこれまで解析の進んでいなかった間質マクロファージに焦点を当て、シリカ誘導肺線維症モデルマウスにおける特徴および役割の解明を行いました。

 シングルセルトランスクリプトーム解析の結果より、Lyve1hi MHCⅡlo 間質マクロファージとLyve1lo MHCⅡhi 間質マクロファージの2つの集団が検出でき、特にLyve1lo MHCⅡhi 間質マクロファージにおいて線維化に伴う細胞数の増加や線維化関連遺伝子の高発現が認められました。さらに、Lyve1lo MHCⅡhi 間質マクロファージの増加は自己複製およびCCR2非依存的な血中の前駆細胞に由来することが明らかになりました。また、間質マクロファージ特異的なマーカー分子として補体分子C1qを見出し、C1q陽性細胞特異的にGFPやジフテリア毒素受容体を発現する新たなモデルマウスを作製しました。本モデルを用いた解析結果より、間質マクロファージが線維化結節周囲に集積することや、線維化促進的および炎症抑制的役割を有することが明らかになりました。

この結果は間質マクロファージ、特にLyve1lo MHCⅡhi 間質マクロファージが肺線維症の悪化に寄与することを示唆しています。